始まりは喉が焼ける感覚だった。

体内の器官が全部溶けていて人間の排泄物はそれらを体外に出す行為だということも全部の器官が消えたら死ぬこともこの時はじめて知った。

 


海は骨でできていた。全部溶けて出来たものだから本当はすごく熱くて、あれです、冷たすぎるものって火傷するじゃないですか、

世界の殆どの土地はそれの逆で出来ているものだって初めて気づいたのは教祖だったんです

 


目を瞑っているのにこちらにやってくる人間 体が恐怖で動かなくなる 人間は近くにきた瞬間に紙になって飛んでいくけどそれが繰り返し起こるから体が慣れるまで永遠にこの恐怖を感じて生きることを義務付けられていた

 


私の中にいる汚い這っているものが刺激を与えると消えていくけど後に残るものは私だから衝撃を与える前と何も変わらない これじゃ殴り損だ

 


背中を蹴られるたびに溶けた表情がポタポタと私にかかる 溶けてるの痛くないのかなぁとか考えるけどそんなことより私の背中の痛みの方が強くて相手を思いやれない いつだって自分より他人を思いやる心の優しさなんて持ち合わせていなかった

 


ベリーショートがよく似合う青い髪の女の子が助けを求めてこちらに走ってくるから助けようとしたら私の女性器に続く穴がカッターで丁寧に切られていた そこからは生理の時と同じようなレバーの塊のようなものが作られていた

女の子はそれを加工したものを渡して「羽を広げて威嚇したらこの毒で相手に致命傷を与えられるよ」と言っていたけど広げる羽なんてないからその毒を自分に塗りたくることしかできなかった。

 


よくわからない言語を話す人間たち、こちらに気づいたときに片言で「痛いことはしないよ」と言いながら注射針を刺してきた。中で針の折れる音がして寿命を感じたけどグーグルで「血液 循環 スピード」て調べるなんて野暮なことはしないでじんわりと進む死を感じながら残りの人生後先考えずに生きようと思う。

 


よく見る天井、後に残るジェットコースターから落ちた後の感覚 現実を感じたが針が体内にいるからそれだけは現実だとわかった

グーグルの開き方も検索の仕方もわからない私は情弱らしくこの海で溺れて死ぬのかぁとぼんやり思った。